どうも、なかしー(@nakac_work)です。
自動車や家電製品にプログラミングをするエンジニアとして働いています。
こんな回路を見たことありませんか?
モーターに謎のダイオードが付いています。
このダイオードには、ちゃんと役割があることを知っていますか?
結論は、モーターの下のトランジスタ(もしくは、FET)を保護するためにダイオードは必要です。
この記事では「モーターについているダイオードの必要性」について紹介します。
そもそも、モーターを回転させるこの回路がよく分からない人はこちらの記事を先に読んでください。
>>モータードライバとは【役割や回転方向を切り替える方法を紹介】
モーターに逆起電力が発生する
「逆起電力=コイルの自己誘導」のことです。
勉強するまで僕もそうだったんですが、
「自己誘導って何?」って方もいると思うので、自己誘導について説明します。
コイルの自己誘導とは
コイルに電流を流すと、磁束(磁界の強さと向き)が発生します。
磁束の変化に応じて、反対側(打ち消す方向)に電流を流す力が発生します。
それが、自己誘導です。
変化量が大きいほど、自己誘導の影響も大きくなります。
自己誘導によって発生する電圧を逆起電力と呼び、式は次のとおりです。
回路で逆起電力について考えてみる
先ほどの回路からダイオードを消した状態で、モーターとトランジスタ間の電圧について考えてみましょう。
問題は電源を切るときです。
電流が最大から0まで急激に下がります。
先ほどの式から、一定の時間における変化量が大きいほど、逆起電力が大きくなることが分かります。
一瞬ですが、トランジスタのコレクタとエミッタ間に高電圧が発生します。
ブレッドボードで実験してみた
下の画像は、スイッチを切った瞬間をオシロスコープで観測したものです。
60Vまで一気に上がっていることが分かります。
実験で使ったのは2SC1815でコレクタとエミッタ間の最大定格電圧は50Vとなっています。
ダイオードの役割
ダイオードはある電流値を超えると、電圧がほぼ一定になります。
この場合は電源電圧を基準にアノード側の電圧が決まるので、モーターとトランジスタ間の電圧は「電源電圧+ダイオードの電圧降下(VF)」になります。
そうすることで、モーターに電流を流すトランジスタやFETが故障しないように保護しているのです。
このダイオードをフリーホイールダイオードもしくは、フライホイールダイオードと呼びます。
モーターについているダイオードの必要性|まとめ
この記事では「モーターについているダイオードの必要性」について紹介しました。
結論は、モーターに発生する逆起電力で、トランジスタやFETが壊れるのを防ぐ為です。
ポイントは、
- コイルには逆起電力が発生する
- ダイオードはある電流値を超えると、ほぼ一定の電圧になる
- 保護するダイオードをフリーホイールダイオードと呼ぶ
今回、紹介した逆起電力の原因を「フレミングの右手の法則」で説明しているサイトがありましたが、そうすると「フレミングの左手の法則」が崩壊してしまうので間違いです(その矛盾に気づくのに時間が掛かりました)