どうも、なかしー(@nakac_work)です。
僕は、自動車や家電製品のマイコンにプログラミングをする仕事をしています。
トランジスタってどんな仕組みで動いているの?そもそもどんな部品?
という悩みにお答えします。
トランジスタの役割は2つあります。
- 電流を増幅する
- 回路のスイッチング(ON/OFFを切り替える)
具体的な使用例はLEDを光らせるのに使ったり、スピーカーの音を大きくするアンプとして使ったりします。
役割を理解した上でトランジスタの仕組みの解説を読むと分かりやすくなると思います。
この記事では電子工作でよく使う「トランジスタの仕組み」について紹介します。
- トランジスタの仕組み
- トランジスタの使い方
- トランジスタを使った回路例
トランジスタの仕組み
トランジスタは半導体の仕組みを上手く使っている電子部品です。
半導体とは導体と絶縁体の間のもので、電気を流したり、反対に流さなかったりします。
まずは、トランジスタがなぜ電流を流したり、流さなかったりできるのかについて紹介します。
トランジスタには「NPN接合」と「PNP接合」の2種類があります。
N(ネガティブ)が電子、P(ポジティブ)が正孔です。
正孔というのは穴のことで、電子というボールは穴に向かって移動します。
電子が移動する向きと反対に電気が流れます。
PとNの間にできる空間を空乏層と呼びます。
この空乏層が広いと電気が流れにくく、狭いと電気が流れやすくなります。
電圧を加えることで、空乏層の大きさが変化します。
電圧のプラスとマイナスの繋ぎ方によって大きく大きくなるのか、小さくなるのかが変わります。
磁石のN極とS極で考えると分かりやすいと思います。
P極に電源のプラス、N極に電源のマイナスを繋ぐと
お互いに反発しあい、空乏層は狭くなります。
反対に、P極に電源のマイナス、N極に電源のプラスを繋ぐと、お互いに引き寄せ合うので、空乏層は広くなります。
この空乏層の仕組みを使って、トランジスタは電気を流したり、流さなかったりと切り替えることができます。
左のN極から電子をP極に押し出しますが、右側のN極の電圧の方が高いので、そのまま左から右へ移動します。
トランジスタの使い方
トランジスタには端子が3つあり、B(ベース)・C(コレクタ)・E(エミッタ)と呼びます。
トランジスタを使った回路を設計するために覚えておいた方が良いことは次の2つです。
- BとEの電圧差で電気を流したり、流れなくできる(スイッチング回路)
- Bの電流を増幅することができる(電流増幅回路)
マイコンとトランジスタを繋げて動かすレベルなので、マイコンなしで回路設計したい人には説明不足かもしれません。
トランジスタでよく使われる「2SC1815」という型番を使って具体的に紹介します。
スイッチング回路
ベースとエミッタ間に加える電圧で、トランジスタのON/OFFを切り替えることができます。
2SC1815のベースとエミッタ間に0.6V以上の電圧を加えると、ONするので電流が流れます。電圧が0.6Vよりも低いとOFFするので電流が流れなくなります。
マイコンのポートがHの時の電圧は3.3Vもしくは5Vで、Lの時の電圧は0Vが一般的なので、0.6Vは気にしなくて大丈夫です。
電流増幅回路
Eに流れる電流は次の式で求めることができます。
IE = IB + IC(1 + hfe) × IB
DCモータは電流が大きいとトルク(回転しようとする力)が大きくなります。しかし、マイコンの電流は小さく20mAほどです。
トランジスタを使うことで、電流を増幅し、モーターのトルクを大きくすることができます。他にはスピーカーの音量を大きくするアンプとしても使われます。
トランジスタを使った回路例
トランジスタを使った回路例を紹介します。
スイッチング回路(NOT回路)
最も基本的な回路です。
トランジスタがOFFの時は電源電圧になりますが、ONするとGNDの電圧に変わります。
モータードライバー回路
電流の向きによって、モーターが回転する方向が変わります。ラジコンカーみたいに前進したり、後退したりするようなときにモータードライバー回路を使います。
タクトスイッチを4つ使った回路で考えてみると分かりやすいと思います。
左上と右下の組み合わせと、右上と左下の組み合わせでスイッチを押すとモーターは回転します。
この4つのスイッチをトランジスタ回路に置き換えるとこんな感じです。
この回路を作らなくても簡単にモーターの回転方向を変えることができるICが発売されています。そのICの内部は同じような回路が入っています。
トランジスタの仕組み|まとめ
この記事では「トランジスタの仕組み」について紹介しました。
- トランジスタの仕組みは空乏層の変化を使っている
- トランジスタはスイッチング回路と電流増幅回路で使える
- トランジスタを使った例として、モータードライバー回路がある
NPNトランジスタなら「2SC1815」でPNPトランジスタなら「2SA1015」がメジャーです。
ブレッドボードで実験して使い方を確かめてみましょう!